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サーボプレスを使ったプレス工程改善事例:McGregor Metal社

サーボプレスによるプレス工程の改善に効果があることは、多くの技術者や現場が知っている。しかし、「これらのメリットがどれほど重要であるか?」、「サーボプレスとメカプレスとの違いは、微々たるものなのか、大きな違いがあるのか?」はプレス加工メーカーの関心を寄せている。
効果を実感するのがそれらの疑問を晴らす一番良い方法だ。アメリカ・オハイオ州にある金属プレス加工メーカー、McGregor Metal社(以下、マックレガー・メタル社)は、2021年に能力4000kNのサーボプレスを導入した。様々なプレス加工で活躍するサーボプレスの活用によるプレス工程の改善を実感している同社は、SEYI製サーボプレスの追加検討もしているという。
従来のプレス加工法の限界を感じた
マックレガー・メタル社は、40年以上プレス加工を手掛けており、創業当初は小規模企業だったが、やがてアメリカ国内の自動車や家電、電子部品分野の顧客に製品を供給しているプレス加工メーカーに成長した。該サーボプレス導入前の状況を同社の金型エンジニアLarry Bordersさんがそう振り返った。工場内の13台のプレス機が30~50 SPMで稼働している。稼働状況は良好だが、生産効率、生産性を向上させるには難しかった。複雑な製品の生産では、長い機械設定時間や高い不良率がネックだった。
同社が100種類のプレス部品の注文を受けたとき、経営陣は今までとは違う加工工程でこの注文を高効率で完成する必要性を感じた。研究調査を経て、加圧能力4000kNのSEYI製「SDG2-400」サーボプレスの導入を決めた。新しい技術を取り込むことにより、同社の今後必要になる競争力をつけられることを信じているからだ。
サーボプレスの活用によるメリット
SEYIサーボプレスを導入したマックレガー・メタル社は市場競争力が格段に上がった。製造面でも、生産性の向上、機械停止時間の低減、操作性の向上、金型寿命の延長、製品品質の向上などを実現している。
金型エンジニアのLarry Bordersさんは、サーボプレスがもたらす大きな変化を強調した。「お客さまが当社工場に入ってみると、メカプレスの速度は横にあるサーボプレスの半分しかなく、さらにサーボプレスで加工した製品品質とは比べ物にならないことに気づいたのです。」と説明した。
生産量が2倍に
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サーボプレスを活用して実感した効果の一つは生産性の向上だ。「サーボプレスを使えば、どんな金型やプレス加工品も生産量を倍増させることは可能になります」とLarry Bordersさんが言う。サーボプレスの「振り子モーション」での生産は、従来のクランクプレスより、生産性の向上を実現している。振り子モーションを活用するこで生産量が2倍になり、サーボプレスの生産性とフレキシブル性を証明している。サーボプレスの1台の生産量は、同社工場内の12台のメカプレスの合計生産量に相当し、同社工場の生産量の3分の1を占めている。 |
製品の品質向上
マックレガー・メタル社は、メカプレスでの加工でトラブルが発生したワークは、サーボプレスで加工すると品質を向上することができた。「一部の製品は、メカプレスでは満足な品質が得られなかったが、サーボプレスならできるという現象に気づきました。サーボプレスで加工する製品は、その品質は100%を達成しています」とLarry Bordersさんが話す。サーボプレスを活用することにより、高品質製品生産の安定化、トラブル対応の時間とリソースの削減を実現した。 |
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不良率が大幅低減
金属プレス加工では製品品質を保つことは重要だ。たった一つのプレス加工不良品で莫大な損失発生につながる恐れがあるからだ。マックレガー・メタル社のLarry Bordersさんはメカプレスでの生産状況を振り返る。メカプレスで生産していた小物絞り品は不良率が50%だった。材料のムダになるだけでなく、生産量も予想の半分になっていた。この金型をサーボプレスに取り付けて生産したら、加工域でのスライド減速により、製品の品質が向上し、不良率もほぼゼロになっている。
段取り時間短縮
マックレガー・メタル社はサーボプレスを活用することで、段取時間の短縮を実現した。「段取時間が今までの半分になっています」とLarry Bordersさんが話す。金型パラメータを設定したら、全てプレス機のメモリーに記憶され、ダイハイトやバランサの調整もプレス機で自動的に行っているので、段取り作業時間は大きく短縮される。SEYIサーボプレスに200型分の金型メモリを搭載しているため、一度設定すれば、段取りはとてもスムースにでき、機械の停止時間も短縮される。段取時間の短縮により生産性向上、加工の柔軟性向上を実現している。
手動パルサにより金型のセット作業が簡単に
金型のセット作業や異常発生時の対応で生産時間が減る。サーボプレスの手動パルサを使って、段取り時間を短縮でき、作業の手助けになるとLarry Bordersさんが説明する。手動パルサによりスライド位置を微細に調整できる。順送型の場合、パイロットピン調整のトライアンドエラーを大幅に削減した。手動パルサを使うことでパイロットピンを正確な位置に合わせ、設定角度を見つけることができる。この過程を繰り返してパイロットピンの位置決めを完成する。
また、手動パルサ機能により、ミスフィード異常排除の時間も大幅低減した。同社は手動パルサの使用により、生産トラブルを短時間で排除し、生産効率の向上、機械停止時間の削減を実現している。
簡単操作と使いやすさ
サーボプレスの使いやすさで、作業者は機械の調整に費やすことを少なく、より多くの時間があり、加工プロセスの監視、製品品質確保に集中できる。「とにかく使いやすい、一度設定すれば、あまり心配する必要はありません」Larry Bordersさんが話す。
センサーが故障した場合、パルサーホイールを使用してスライドを逆転させる機能により、センサーの故障で起因した機械損傷を防ぎ、操作をシンプルに保ち、機械を保護する。
金型寿命の延長
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マックレガー・メタル社は、特筆すべきのメリットの1つは、金型寿命の延長だ。従来メカプレスに取り付けた金型より、SEYIサーボプレスに取り付けた金型の寿命は3倍ほど伸びた。「金型の再研磨の間隔は、従来メカプレスの10万ショットからサープレスの30万ショットに延長しました」とLarry Bordersさんが語る。金型保守コストの低減、製造効率の向上を実現した。 |
今後に向けて
SEYIサーボプレス「SDG2-400」の現場へのメリットを実感したマックレガー・メタル社は、サーボ技術の提唱者になった。さらに2台のサーボプレスを導入すれば、同社工場内の6~7台ぐらいのメカプレスを置き換えることができる、とLarry Bordersさんが信じている。SEYIアメリカの販売・サービス体制で良い体験を受けてきた同社は、SEYI製サーボプレスを優先的に選ぶことにしている。
「次のサーボプレス導入は、真っ先にSEYIを選びます」とLarry Bordersさんが話す。
マックレガー・メタル社の事例から、サーボプレスとメカプレスの違いは、リンゴとステーキのように本質的な違いがあることが分かる。サーボ技術への投資で会社の競争優位性をもたらし製品品質と生産効率の向上を確保した。 本事例は、サーボプレス活用によるプレス加工へのメリットを示し、これらのメリットは、変革を受け入れる人にとって。具体的かつ革命的であることを証明している。